読んだ本

昨日は写真集で翻訳ものではありませんでしたが、今日は相変わらずの、小説は翻訳ものばかり読む人に戻りました。

卵を産めない郭公 / ジョン・ニコルズ (村上春樹訳)
The Sterile Cuckoo / John Nichols

1960年代前半のアメリカ青春小説。ベトナム戦争やドラッグ以前、だけどロックンロール以降(巻末の村上春樹柴田元幸の対談ではエアポケット的な時代と表現されてた)。饒舌で無茶苦茶な女の子とその娘に惚れられて自分も惚れて、真面目だったはずがロックンロールな素質(音楽的な意味ではなく)を開花させ、そんな二人の出会いから関係が行き詰まっての別れまで、滅茶苦茶だけど切実な、痛ましいほどに切実な、だけどユーモアもある、とても魅力的な青春小説でした。くだらないし、いい気なもんだな、と思うなら思え、と僕は開き直っちゃいます。こんなに無茶苦茶ではなかったけど、その切実さは分かるよ、とあの頃の自分に言ってやりたい人もたくさんいることでしょう。いい本でした。